ラオスのルアンパバーンにてフィールドワークを実施
東工大チームとDPLスタッフ 上村(M2)は、2018年3月13日から5月18日の2か月間、ラオスのルアンパバーン世界遺産局(DPL)にてフィールドワークを実施した。ルアンパバーンが世界遺産に登録されて23年が経った現在、DPLは世界遺産地域の建設に関する規則の改定を実施している。そのため現地では規則の改定に向け過去20年に渡る景観の変化を分析することが急務となっている。 DPLの現状を踏まえて、上村は本フィールドワークを通して主に次の三点に取り組んだ:1)主要なエリア(ZPP-Ua)における景観の変化のデータを可視化する、2)景観の変化を建造物の属性データの観点より分析する、3)景観変化の背景にある様々な理由を調査する。さらにDPLの業務の支援として世界遺産データベースのユーザーインターフェースの開発を行なった。 ZPP-Uaにおける景観変化のデータの可視化 地理情報システム(GIS)ソフトウェアを活用して、1999年と2010年、2017年における景観(建造物の属性データ)を可視化した(図2)。各時点での可視化された景観を比較することにより、景観変化の傾向を視覚的に確認することが可能となった。 建造物の使用方法に関する変化(1999-2010-2017) 景観変化のデータ分析 GISでの地図上における可視化に加えて、各データを記述統計で定量的に分析した。数的に景観変化を分析することで、実際にどの程度景観が変化しているのかの確認が可能となった。 景観変化の背景にある様々な理由の調査 景観変化の理由を明らかにするため、三週間にわたり203人の住民にアンケート調査を行なった。さらにアンケート調査中には、書き取りに加えて聞き取りにより住民から調査に関連した意見を得た。 世界遺産データベースのユーザーインターフェースの開発 世界遺産に関する情報を現地の住民や観光客に提供するために世界遺産データベースのユーザーインタフェース(UI)を開発した。UIの開発には、プログラミング言語としてHTMLとCSS、PHP、ソフトウェアのデータベース管理システムとしてPostgresSQLが使用されている。 フィールドワークの最終日に、上村はDPLにて活動の成果発表を行なった。成果発表後にはDPLスタッフとディスカッションを行い、景観の変化の分析方法に対するアドバイスや、景観の変化の背景にある現状について専門家としての見解を得ることができた。 活動を通して、世界遺産の保全と開発の関係性について遺産管理をするDPLや、観光客、住民といった様々な観点から考えることができたと述べている。上村は、今後の活動として調査結果の分析や引き続き世界遺産データベースの開発を行なう予定である。 アンケート調査の様子 活動結果についてのプレゼンテーション
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