ラオスのルアンパバーンにてフィールドワークを実施

上村一樹

期間:9月7日~9月29日

ラオスのルアンパバーン世界遺産局(DPL)にて23日間(9月7日~9月29日)にわたる、自身としては初めてのフィールドワークを行ないました。本フィールドワークでは、主な活動として1)DPLのICTユニットのリーダーとディスカッション、2)建造物の属性データ収集と入力、3)世界遺産地域のZpp-Uaにおける建造物の各属性データの可視化、4)DPLの講演会への参加、5)その他の文化活動、を実施しました(表1参照)。

表1 フィールドワークのスケジュール

Activity Date
活動 1:

DPLのICTユニットのリーダーとディスカッション

9/7
活動 2:

建造物の属性データ収集と入力

9/8 – 9/22

データ収集:9/8 – 9/20

  • Phanuang村:9/8, 9/11
  • Mount Phousi村:9/12
  • Muang Nga村:9/20

データ入力:9/11 – 9/22

活動3:

世界遺産地域のZpp-Uaにおける建造物の各属性データの可視化

9/22 – 9/29
活動4:

DPLの講演会への参加

9/22 (Thatlouang村)

9/24 (Vatthat村)

活動5:

その他の文化活動

9/9

 

フィールドワークを開始するにあたり、本活動を通して何をするべきかをICTユニットのリーダーであるSisomphoneさんと話し合いました。現在ICTユニットは、世界遺産全体における建造物の属性データを収集し、地理情報システム(GIS)へのデータの入力を実施しています。世界遺産保存地域の中心部にあたるZpp-Uaのベースマップを作成することが優先事項であることを受け、彼らが行なっている建造物の属性データの収集・入力に参加し、その後Zpp-Uaのベースマップの作成に従事しました。

初日からICTメンバーの作業に加わり、属性データの収集法・入力法を学びました。データの収集・入力は、あらかじめ決められたエリアにて合計三回行われました。ICTメンバーとの共同作業として、一回目はZpp-Uaに次いで主要なゾーン(Zpp-Ub)に位置するPhanuang村にて48の建造物(図1)、二回目はZpp-Uaに位置するPhousi山にて15の建造物(図2)、三回目はZpp-Ubに位置するMuang Nga村にて50の建造物、のデータを収集しました。データ入力はデータ収集が終了するたびにArcGISソフトウェア上で行いました。

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      図1 Phanluang村にてデータ収集

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図2 Phousi山にてデータ収集

 本フィールドワーク期間内にZpp-Uaのデータ収集・入力が完了したため、GISを活用して属性データの空間分布を可視化し、対象領域での全建造物に対する属性データの各値が占める割合を求めました。その後、2001年に作成された主題図を参考にしながら、2017年版のZpp-Uaの主題図を作成しました。図3に、2017年における建造物の使用法(住居を除く)ごとに分類し可視化した主題図の事例を示します。

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図3 建造物仕様

 DPLは、村人たちの世界文化遺産ルアンパバーンの意識向上に向けた講演会を各村ごとに開催しています。9月22日と24日にそれぞれThatlouang村とVatthat村にて開催された講演会に出席しました。講演会では、それぞれ約40人ほどの村人が集まり、DPLのスタッフと村長からルアンパバーンの歴史や文化に関するプレゼンテーションが行なわれました。

週末には、DPLスタッフと一緒に滝を観光しました。滝周辺の川で泳いだり、ラオスの伝統的な料理を食べたりとDPLスタッフとの関係を深める非常に有意義な時間を過ごしました。

DPLの職員との交流や現地での生活を通じて、特に以下の三点に関する気づきを得ることができました。第一点目は、DPL主催のルアンパバーンに対する住民の意識の向上を目指した講演会に参加した際、世界遺産の保全・管理においてこのような講演会は非常に重要な取り組みであると感じたことです。参加者は、世界文化遺産であるルアンパバーンの重要性や迫る危機について関心を持ち、理解していたように見えました。第二点目は、寺院は僧侶によって日々管理され大切にされていると感じたことです。寺院では僧侶が日課としてお寺の壁の塗装や、寺院内を掃除しているところを頻繁に見かけました。第三点目は、働き方がラオスと日本では全く異なると感じたことです。16時頃には仕事が終わることや金曜日はほとんど仕事をしないなど日本とは異なる働き方をしていました。

初のフィールドワークであった上村は、建造物の属性データの収集と入力の仕方について学びながら彼らの仕事について理解し、本フィールドワークの目標であったZpp-Uaのベースマップの作成に関わりました。さらに週末の観光を通してDPLスタッフとの友好関係を築き深めました。

 

 

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