ロンドンでの海外サマープログラムの活動報告

上村一樹

期間:2017.08.20 – 09.01

2017年8月20日から9月1日の13日間、主にロンドンで行われた海外サマープログラムに参加した。本プログラムの参加目的は、ロンドンにおける多様な科学機関への訪問を通して、サイエンスコミュニケーションの本質及びその活用法について学ぶことであった。所属していたインターンシップグループは、合計9つの機関1)サイエンス・ミュージアム、2)議会科学技術局、3)王立協会、4)王立工学アカデミー、5)ブリティッシュ・サイエンス・アソシエーション、6)ロイヤルインスティテューション、7)大英博物館、8)ケンブリッジ大学、9)ウェルカム・コレクション、を訪問した。各機関では、イギリスの歴史やそれぞれの機関の創立から現在に至るまでの経緯、サイエンスコミュニケーションに関するイベントについての説明を受けた。ブリティッシュ・サイエンス・アソシエーションでは、これらの説明に加えて科学に対する市民の意識に関する調査結果が紹介された。

プログラムの参加者は、様々な活動を通してサイエンスコミュニケーションとは何で、何のために、どのように活用されているのかを理解することができた。特にサイエンスコミュニケーションとは、科学に興味を持っていない人々を対象に科学に触れ少しでも興味を持ってもらうための機会を与える活動のことではないかと感じた。訪れた機関の中でもサイエンス・ミュージアムと議会科学局において非常に学ぶことが多かった。サイエンス・ミュージアムでは、一般の訪問者に科学の動向を理解してもらうためにどのような工夫をする必要があるのかについてのヒントが得られた。例えば、ロボットブースでは、時計から始まり現在の人型ロボットまで時代の流れに沿って科学技術がどのように発展し、その時時で人類が既存の科学技術を通して何を夢見ていたのかを学んだ。訪問者が理解しやすく興味を感じる構成になっていた点が印象深かった。議会科学局では、公共問題において事実に基づく証明の重要性、およびその問題の解決に向けたパートナーシップの必要性を学んだ。議会科学局の担当者からは、科学的な公共問題を政策立案者に理解してもらうための徹底的な証明とそれを説明する仕方の工夫、そして科学者や法律家、議員など複数の専門分野を超えたパートナーシップが必要であるという話を伺った。

本プログラムを通して、サイエンスコミュニケーションについて理解するとともに、どのようにすれば科学を非科学者に分かりやすく伝えられるのか、また公共問題を対処するにあたって証拠に基づく説明や世界で謳われているパートナーシップの重要性についても深く学ぶことができた。

2

Fig.1 サイエンス・ミュージアムのロボットブース(2017.08.21)

3
%0

Print Friendly, PDF & Email