ラオス・ルアンパバーンへの研究室旅行

日程:2016年9月3日(土)~9月10日(土)

ルアンパバーンは19世紀から20世紀にかけて建てられたラオスの伝統様式とフランス植民地時代の様式とを組み合わせた建築物とその町並みにより、1995年に町全体がユネスコ世界遺産として認定された。山口高田研究室はルアンパバーンの世界遺産局(DPL)と連携しながら情報通信技術(ICT)を活用した世界遺産の保全を目的とした取り組みを2013年から行っている。このような背景から、山口高田研究室のメンバーはプロジェクトの活動に携わり世界遺産の歴史を学ぶためにルアンパバーンを訪れ、8日間滞在した。

ルアンパバーン到着後、街を散策し、主にメインストリートを見て回った。夕食はラオスの伝統料理で有名なAntique House Restaurantへ移動し、DPLのICTチームと山口高田研究室のメンバーとで夕食を共にした。どの料理も他の国では余り見られない美味しいものばかりで、現地ICTチームとの親睦も深めることができた。

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(1日目夕食時にて山口・高田研究室一同とICTチームメンバー (2016年9月撮影))

2日目の日曜日はラオスの中でも最も神聖な場所のひとつとされるパクオウ洞窟へ向かった。洞窟へたどり着くには小さなボートで川を渡る必要があり、ルアンパバーンから岸までをDPLスタッフの車で、岸からは全員でボートに乗り込んだ。洞窟では4000体とも言われる大小様々な仏像に迎えられ、洞窟内に設けられた祭壇の前で皆の健康と今後の成功を願って祈りを捧げた。

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(パクオウ洞窟にて祈りを捧げる山口・高田研究室一同 (2016年9月撮影))

洞窟からルアンパバーン町内に戻った後、国立博物館を訪れた。この場所はラオスがフランスの占領下にあった1904年に建設され、同じ敷地にはかつての王宮も残されている。これらの建築物はラオスの伝統様式とフランス植民地時代の様式を組み合わせて設計されており、本来は王族の住まいとして使われていた。博物館内には当時の王族達の生活が再現された部屋や、世界各国からラオスに贈られた宝飾品の数々が展示されており、ラオスの歴史を学ぶことができた。

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(国立博物館にて山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

次にルアンパバーンのシンボルと言われるワット・シェントーン寺院を訪ねた。この寺院は1559年から1560年にかけて当時の王によって建立された。寺院の内部には古代のラオスの人々を描いた壁画が飾られており、現代とは異なる生活や人々の息遣いを知ることができた。

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(ワット・シェントーンにて山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

寺院の敷地内を回った後、最後にプーシーの丘へ登った。プーシーの丘は高さ150mの小さな丘(英名はMount Phou Si)だが、ルアンパバーンの建築物は高さが制限されていることもあって周囲の景色を一望できる絶好の場所である。ルアンパバーンの町並みだけでなく、両端を流れるメコン川とナムカーン川の雄大さや自然の豊かさも改めて確認することができた。

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(プーシーの丘頂上にて山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

3日目の早朝、托鉢に参加するためルアンパバーンのメインストリートへ向かった。ルアンパバーンでは毎朝寺院から僧侶が町に出て、町の人々から食糧を受け取る托鉢が行われている。籠を担いだ物売りの女性からもち米(ラオス主食のもち米)やお菓子などを購入し、托鉢に参加した。

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(托鉢をする山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

3日目から7日目までは毎日9時から16時までDPLのICTチームオフィスにて研究室の各メンバーが研究活動やDPL業務に従事した。Li、大矢、挾間の3人はICTチーム業務のアシスタントとして主にルアンパバーンの伝統的な建築物の実地調査やこれまでの調査結果のデータベースへの入力、そしてDPLのウェブサイト運営のサポートを行った。日頃ラオス以外のプロジェクトに関わる3人にとっては馴染みのない仕事だったが、DPLスタッフの説明を受けながら世界遺産保全に関する取り組む経験をすることができた。

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(ICTチームの業務協力をする山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

ラオスプロジェクトのメンバーであるPoong研究員、游の2人は滞在4日目の9月6日にDPLのセミナーホールにて東工大とDPLが共同で主催したワークショップに参加し、Poong研究員は博士論文研究のテーマであるモバイルラーニング用のスマートフォン向けアプリのアップデートについて、游はドローンを用いたメコン川岸の景観保全のための研究の進捗報告についてそれぞれ発表を行い、発表後はDPL側との活発なQ&Aが行われた。

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(ワークショップに参加する山口・高田研究室メンバー (2016年9月撮影))

4日目の夜は研究室旅行恒例のセミナーを行い、フィリピン大統領についての記事を挾間が、ラオスとタイを結ぶ新たな幹線道路建設についての情報をLiと大矢が取り上げプレゼンテーションを行った。続いてLiと游がそれぞれ昨年国連主導で合意されたSustainable Development Goals(SDGs)から目標を1つ選び、Millennium Development Goals(MDGs)との比較や2030年の達成状況の展望についての発表を行った。その中で「MDGsは開発途上国を主な対象としていた一方、SDGsは途上国に限らず世界各国に取り組みを促す目標である」という見解や、「世界がもし100人の村だったら」という喩え話が披露されるなど、議論も大いに盛り上がった。

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(研究室セミナーにて議論する山口・高田研究室メンバー (2016年9月撮影))

その翌日、滞在5日目にはDPLのDeputy Directorであるブンコン氏の招きで昼食を一同で楽しんだ。昼食後、山口教授からPoong研究員が今年12月から母国マレーシアのMultimedia大学の教員として勤務することになったとの発表があり、Poong研究員のPhD取得と合わせて祝賀のセレモニーが行われた。山口高田研究室とDPLスタッフ皆でPoong研究員の新たな門出を祝福した。

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(Poong研究員に花束を贈呈する山口先生とICTチームメンバー(2016年9月撮影))

滞在7日目、DPLでの業務を終えた後、DPLスタッフからフェアウェルパーティー催しを受けた。DPL側から研究室メンバーにICTチームへの貢献に対する感謝の気持ちが述べられ、研究室メンバーも名残りの中DPLの献身的なサポートや気遣いについて感謝の意を伝えた。

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(Farewell PartyにてDPLスタッフと山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

最終日の8日目、町からは少し離れたクアンシーの滝へ赴いた。滝は町からは30kmほど離れた場所に位置しており、トゥクトゥクをチャーターして片道40分ほどの道を走った。雨季のためクアンシーの滝は水量が多く、滝の美しさだけでなく水流の激しさと轟音の迫力にも圧倒された。自然豊かな山道の中で安らぎの一時を過ごし、無事に8日間のルアンパバーン滞在を終えた。

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(クワンシーの滝にて山口・高田研究室学生ら (2016年9月撮影))

今年の研究室旅行は比較的長い滞在の中、ルアンパバーンという世界遺産の地で観光だけでなくその保全に関する仕事にも携わる有用な機会となった。研究室メンバーそれぞれが得難い経験をした充実した一週間だった。最後に、今回の研究室旅行について研究室メンバーの感想を以下に掲載する。

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(DPLオフィス前にて山口・高田研究室メンバーとICTチームメンバー (2016年9月撮影))

「私はDPLと研究室メンバーから昼食の席でお祝いされたことにとても驚きました。これは私の良き思い出としてずっと残るでしょう。」(研究員, Poong)

「ラオス、そしてルアンパバーンという素晴らしい世界遺産の町に来るのは今回が初めてでした。これまでルアンパバーンは話でしか聞いたことがありませんでしたが、実際に訪問することでなぜこの地が魅力的なのかを多くの経験によって知ることができました。素晴らしい状態で保全されている町並みや伝統的な文化がとても印象的で、この地の人々が調和の中でどのように生活しているかを知ることができました。」(D1, Li)

「ルアンパバーンへの訪問はとても良い経験となりました。町の中でも特に自然との調和や計画的に整備された町並みが印象的でした。また、ルアンパバーンの建築物のデータ収集やデータ入力を通じて世界遺産保全という世界遺産局の仕事に協力することができたことも素晴らしい経験となりました。町の景観を保全することは容易ではない仕事であると同時に、多くの努力を必要とすることも痛感しました。ルアンパバーンの町が今後もこの良い状態を維持し続けられることを願います。」(M2, 大矢)

「今回の研究室旅行はかけがいのないものとなりました。ルアンパバーンでは、多様な文化に触れることができました。既にプロジェクトのメンバーとしてルアンパバーンを2度訪れていましたが、研究室旅行での現地の人々との交流を通してルアンパバーンの人々は日本人と同様、歴史や礼儀を重んじる傾向があると感じています。ルアンパバーンの価値を理解することで視野を広げることができました。」(M2, 游)

「研究室旅行として初めてルアンパバーンを訪問する機会を得られたことに感謝しています。観光名所を訪れ、またDPLでアシスタントとして働くことを通じてラオスの文化や歴史に触れ、人々に出会うという素晴らしい機会を得ることができました。静かで平穏な町というのがルアンパバーンの第一印象でしたが、その後、豊かな食文化や親しみやすい人々、美しい町並みに魅了されるようになりました。」(M1, 挾間)

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