入江憲史 (M2) がルアンプラバーンにて現地調査を実施

2015年3月20日から5月31日にかけて、山口・高田研究室の入江憲史 (M2) がラオス国ルアンプラバーン世界遺産局 (DPL) にて現地調査を実施しました。ルアンプラバーンの池・湿地帯はルアンプラバーンのユニークな街並み景観構成の1つであり、同時に、遺産保全の基本計画 (PSMV) の中の重要な保全要素として登録されています。池・湿地帯の調査は、2014年の夏に一度ICTチームによって実施されました。調査では、池・湿地の一部が減少傾向にあることが判明したが、池がどれくらい消失しているかなど、池・湿地の変化における具体的な情報は少ないことが問題として挙げられました。これら少ない情報を補完するために、入江 (M2) はICTチームメンバーの協働のもと、遺産保護地域の池・湿地の変化の可視化と池や湿地帯保全に対する人々の態度を定性的なアプローチから調査しました。具体的には、1) 池・湿地帯の変化の可視化、2) 池・湿地帯に関連するインタビュー調査、3) DPLスタッフメンバーとのワークショップを通じたディスカッションの3点の活動を行いました。

池・湿地帯の変化の可視化に関しては、マノ村とフォンカム村に跨る主要な池・湿地帯の変化を異なる時期 (2002年時点、2008年時点、そして2014年時点) の衛星画像を用いて実施されました。この可視化では、池、湿地帯、及び森林の一部は既に消失していることと、その土地が他の目的に既に活用されていることが明らかになりました。また、解像度や影の影響によって衛星写真の映像からは判別しにくい情報を補完するためにフィールド調査が実施されました。フィールド調査では、所有者の家族構成 (例: 若い男性がいる) によって池・湿地帯の保全状況が異なっていることが明らかになりました。

インタビュー調査に関しては、DPLスタッフメンバー6名、池・湿地帯の所有者5名、池・湿地帯周辺の住民2名の13名を対象に実施されました。質問項目の作成では、オープンエンド型の質問が、インタビューが円滑かつ目的に沿った形で行うことができるように作成されました。インタビュー調査は以下3点の目的のもと実施されました: 1) 異なる利益団体から意見の収集と、その視点の理解; 2) 池・湿地保全に対する人々の態度に影響を及ぼす可能性のある要因の分析; 3) 池・湿地帯が減少するに至った原因の究明、の3点である。調査の結果、興味深い事実が判明しました。具体的には、異なる生活環境で生活する住民では、池・湿地帯に対して異なる視点を保有している点です。例えば、低所得者層に該当する池・湿地帯の所有者は、池・湿地帯を重要な生活資源とみなし生活に多くの利益を与えると考えている一方で、高所得者層に該当する所有者は、生活に与える利益が少ないとみなしているという異なる視点が明らかになりました。その後は、インタビュー内容をデータ化し、重要な情報がグラウンテッド・セオリーに基づいて抽出、及び分類された。その結果、池・湿地帯保全に対する人々の態度に影響を与える21の要因が特定されました。例えば、特定されたうちの1つの要因である「世界遺産に関する知識量」に、世界遺産地域である以上、池や湿地帯保全する意義があると回答した人々の保全態度に影響を与えるかもしれない、などといったことが特定されました。インタビュー対象者はまた、池や湿地帯の減少傾向を引き起こす原因についても質問され、明らかになった原因は、天然的原因、また人工的原因の2つのタイプに分類されました。特に、人工的原因が多くを占めることが明らかになりました。人工的原因の一例として、ある人は、「新規ビジネスで建物を建設するために池・湿地帯を埋め立てるケースがある。」と述べました。

ワークショップに関しては、定性的結果の共有や議論を促進するために複数回開催されました。「Collaborative GIS Workshop」では、GISを用いた景観変化の分析を含めた、本現地調査で実施された活動を通じて得られたすべての結果を共有した後に、DPLスタッフメンバーと結果について議論された。ワークショップで得られた意見やアドバイスは今後の研究に反映される予定です。

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最後に入江は、「DPLの協力があってはじめて現地調査を遂行、及び完了できることを学びました。この現地調査では、DPLスタッフの献身的なサポートのおかげで大変実りのあるものとなり、有意義な時間を過ごすことができました。」と述べています。

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