第36回国連大学グローバル・セミナーに参加

2021年3月10~11日, 22日に行なわれた、第36回国連大学グローバル・セミナーに平井(D5)、Jerome(D3)、Saiful(D3)が参加しました。

  1. 国連大学グローバルセミナーとは

国連大学グローバル・セミナーは、国連大学サステイナビリティ高等研究所が主催する、現代社会が直面する地球規模の問題と、国際連合の取り組みについて学ぶことを目的としたセミナーです。大学生、大学院生、若手社会人が参加対象です。1985年の湘南セッションに始まり、これまでに、日本全国各地、また2003年にはソウルで、セッションが行なわれてきました。今年は、コロナ感染拡大の状況により、オンラインでの開催となりました。

  1. 第36回国連大学グローバルセミナー

第36回国連大学グローバル・セミナーのテーマは、「Sustainable Solutions for Global Environmental Problems」でした。このテーマの下、全国の大学から選抜された65名の学生が、三つのグループに分かれ、環境問題に係る課題の分析と解決策の提案に取組みました。特に、大気、地上、水の三つの系の相互関係に着目すること、分野横断型の学際的なアプローチで課題分析・解決策提案に取組むことが強調されました。セミナーは、3月10日、11日、22日の三日間で開催され、それぞれの日にゲストスピーカーによる基調講演と、グループワークが行なわれました。22日には、グループワークの成果発表会がありました。

セミナー1日目(3月10日)

セミナーの1日目は、山口教授による開会の挨拶から始まりました。山口教授は、セミナー参加者の所属大学の多くが貢献している、国連大学SDG大学連携プラットフォームに触れ、多様な分野の知識を持つ人材が、持続可能な開発に向けて連携することの重要さと、その連携のための大学のネットワークが重要であることを伝えました。挨拶に続いて、国連大学の上級副学長沖大幹教授による基調講演「Global Water Sustainability」が行なわれました。沖教授は、MDG時代の水分野の目標達成から得られた学びと、SDGs達成に向けた課題について話されました。特に、アクセス可能な水の質、安全な水へのアクセスが特に限られている地域への支援、仮想水取引量に着目した現実に即した水へのアクセスを図る指標、について考慮することが重要であることを、データを示しながら説明されました。

1日目のグループワークは、グループ毎にメンバーの自己紹介をした後、グループをさらに、大気、地上、水のサブグループに分け、それぞれの分野での課題の特定、関連する課題の相互関係、課題解決策とその利害関係者の分析を行ないました。山口・高田研究室のメンバー3人は、ともにグループCに所属し、平井は、大気を担当するサブグループC1、Saifulは水を担当するサブグループC2、Jeromeは地上を担当するサブグループC3に分かれ、グループワークに参加しました。サブグループC1は大気汚染と酸性雨に着目し、工業、農業、運輸、廃棄物処理による大気汚染、酸性雨への影響についてまとめました。

セミナー2日目(3月11日)

セミナーの2日目は、はじめに、国立環境研究所、社会環境システム研究センター長の亀山康子教授による基調講演「Climate change and security」が行なわれました。亀山教授は、気候変動と紛争の関係、気候変動に起因する紛争への対応をテーマに話されました。気候変動によって干ばつなどの自然災害が生じ、それによって、新たな居住地や限られた資源を求めて紛争が生じることがあります。亀山教授は、こうした課題に対応するためには、対策、適応、支援といった段階に分けた体系的な状況分析と、環境省と防衛省といった他セクター間での連携が不可欠であることを、主要な文献や国連で採択された決議を例に説明されました。

続いて行なわれた、2日目のグループワークでは、まず、各サブグループが、1日目に行なった課題・解決策分析の結果をグループ内で発表しました。その内容を統合して、1)大気、地上、水の三つの系に係る課題がどのように相互に影響しているか、2)この相互作用に着目した解決策は何か、3)どのように利害関係者の参加を促すか、4)SDGsはどのような役割を持つか、の4点についてグループ全体で議論しました。

セミナー時間外での活動(3月11日〜21日)

セミナー2日目終了後から3日目までの十日間、各グループは、議論を継続して行ない、地球環境問題の解決策についての考えをまとめました。グループCは平井が統括担当となり、他6名のグループコーディネータと協力し、グループ25名の分析を、グループとしての解決策にまとめました。18日には国連大学の教授、研究員からのアドバイスをうける時間が設けられました。その機会を通して、グループCは国連大学の福士教授から多くの助言を頂きました。

セミナー3日目(3月22日)

セミナーの3日目は、東京大学未来ビジョン研究センターのAlexandros Gasparatos准教授が「Fostering transdisciplinary research in the context of commodity crop expansion in Sub-Sahara Africa」と題した基調講演を行ないました。Alexandros准教授は、アフリカにおける農業の課題解決を題材に、多様な関係者と協働して取組むことの必要性、協働して取組む際に有効なプロセスの体系的枠組みと、それを実施する上での課題と着目点について、実例に基づいて説明をされました。特に、何を最終成果とするのかの共通認識を関係者間で共有することが、多様な立場の関係者が関わる事業の成功のために重要であると強調されていました。

講演に続いて、各グループの成果発表が行なわれました。グループAは農業の環境負荷の低減をテーマに掲げ、リアルタイムデータ収集プラットフォームの運用を解決策として提案しました。質疑応答では、運用年数など具体的な運用方法について活発な議論が行なわれました。グループBは、持続可能な開発に関する教育や知識の向上に着目し、QRコードやウェブサイトを作成して、SDGsに関連する情報を周知する方法を提案しました。質疑応答では、コンピュータなどの情報インフラへのアクセスが限られる人を考慮する必要があるとの指摘が挙がりました。グループCは、人の経済活動と、大気、水源、森のエコシステムの共存をテーマとしました。そして、2050 Agendaと題して、環境問題解決を目指し、2050年までに達成するべき7つの指標を提案しました。質疑応答では、資本主義の考えと、経済活動に対する環境負荷を低減させる取組の両立について質問が挙がり、金融資産を効果的に運用することで、高効率の技術を普及する仕組みを整備することが重要であるとの議論が行なわれました。

全てのプログラムを終え、早稲田大学奥迫元教授、上智大学杉村副学長から総括のコメントがありました。奥迫教授は、「環境問題は、将来どこに住んでも、何を仕事にしても必ず関係する分野であることを心に留めて、分野を問わず、分野の垣根を超えて、環境問題の解決に関わっていって欲しい。」と伝えられました。杉村副学長は、ご自身が学生時代にグローバル・セミナーに参加した時の経験を混え、「このセミナーで出会った仲間と、これから先も長く続く大切な縁を築いて欲しい。」とのメッセージをお話されました。最後に、山口教授から、「参加者にとってこのセミナーが、将来のネットワーク構築の第一歩となり、これからもネットワークがさらに広がっていくことを期待する。」というメッセージが伝えられ、第36回国連大学グローバル・セミナーが締められました。参加者には、オンライン上で、山口教授より修了証書が読み上げられました。

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