プロジェクト

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プロジェクトの背景

ラオス北部ルアンパバーン地方に位置するルアンパバーンの街は、下記の世界遺産登録基準を満たす顕著な普遍的価値が認められ1995年に世界遺産に登録された。

基準(ii):ルアンパバーンはラオスの伝統的な建築と19世紀から20世紀にかけての植民地時代の西洋建築との他に類を見ない形の融合を生み出している。

基準(ⅳ):ルアンパバーンは洗練された建造物、その土地の文化様式を反映した建築及び植民地時代の数世紀にもわたる建築技術の融合を示す独特の事例である。

基準(ⅴ):ルアンパバーンの独特の景観は見事に保護され、二つの違った文化の混合を鍵となる段階を描いている。

本研究プロジェクトは、文化遺産の保全と開発に関わる現地の専門家やコミュニティを巻き込んだ統合アプローチによる持続可能な開発を促進することを目標としている。

2003年に、ルアンパバーンの世界遺産局(DPL)と協働事業を開始するにあたって、世界遺産の持続可能な開発を支援するための適切な情報通信技術(ICT)を特定するためにニーズアセスメントを行なった。それ以来DPLとの共同研究及び協働事業を通じて、オープンソースソフトウェアを用いたデータベースの開発から始まり、VRパノラマを用いた景観の管理、知識管理システムの構築、GISを用いた景観及び湿地帯の分析、住民や観光客の世界遺産への意識向上のためのモバイルラーニングアプリケーションの開発、ドローンを用いた河岸のモニタリングなど多岐の分野にわたっている。また現地の人材を育成するために、各フェーズの様々な活動を通じて現地の建築家やICTの専門家などと堅密に協力してきた。2010年、及び2015年に開催されたルアンパバーンの世界遺産登録15周年、20周年を記念するシンポジウムでは、データに基づく分析が評価され、東京工業大学は勲章を受章した。以下の図は、これまで実施してきたプロジェクトの概要を示している。

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パンプレット

 


プロジェクトの概要
現在のプロジェクト
フェーズ4: 2017年 – 現在 ラオスにおけるUNESCO世界遺産街並み保存への空間解析の持続的導入に関する研究

DPLは、ルアンパバーンが世界遺産に登録されて23年経った2018年に遺産保護に関する基本計画の改定を行なっている。その改正の際して、土地利用の現状把握および世界遺産登録後の土地利用の変化を分析することが急務となっている。また現地の専門家によると次の規則の改定には世界遺産地域に住む現地住民の意見を慎重に反映する必要があるため十分な準備が必要である。それらを踏まえて、東工大チームは特に主要なエリア(ZPP-Ua)における建造物に焦点を当て、DPLと協力してGISを活用した景観の変化を分析し、その変化の背景にある理由を明らかにするために住民にアンケートで調査を実施している。最終的には、それらの結果を規則の改定の際の参考資料として役立てることを目指している。景観の変化の分析は、次の6つの属性データに基づいている:1)建物の使用法;2)建物の建築様式;3)建物の材料;4)屋根の材料;5)建物の階数;6)建物の状態。

ZPP-Uaにおける景観変化の分析

例1:建築様式

例2:建造物の材料

例3:屋根の材料


過去のプロジェクト
フェーズ 3: 2013年 – 2015年 発展途上国の世界遺産地域における持続可能な情報通信技術の応用に関する実践研究

情報通信技術(ICT)は、絶えず発展しており、過去の取り組みの方法論の見直しが必要になってきた。そこで持続可能な文化遺産の保存活動のために必要となる情報通信技術(ICT)の応用に関して、現地政府世界遺産局(DPL)との共同作業により以下の3点の活動を実施した:1)モバイルラーニングの導入・開発をする、2) 地理情報システム (GIS) による池・湿地帯の変化に関する分析をする、3) 河岸モニタリングのためのドローンの導入をする。具体的には、住民や観光客の世界遺産保護に対する意識向上に向けたモバイルラーニングの開発、GISを活用した湿地帯の変化の分析、河岸を空からモニタリングするためにドローンの導入を行なった。本活動では、新たなICTの導入・活用を行なうだけでなく、過去の取り組みに対する検証を行なって持続可能なICTのあり方を追求した。

ワークショップ資料:

モバイルアプリケーションに関するワークショップ資料

1

ドローンを活用した川岸のモニタリングに関するワークショップ資料

2

GISを活用した池・湿地帯の変化の分析に関するワークショップ資料

3

レポート:
  • プロジェクト要旨
ニュース:
報告書:

フェーズ 2: 2009年 – 2011年 開発途上国における世界遺産地域でのGISの導入:ラオスのルアンパバーン世界文化遺産のケース

2008月にUNESCO世界遺産委員会が発表した世界遺産モニタリング報告書によると、ルアンパバーン世界遺産地域では、世界文化遺産に登録されてから違法建築が急激に増加しており早急な保護政策の実施がなければ危機遺産に指定される可能性があると示唆した。また遺産保護に関する基本計画により土地利用の規則が施行されていたが、これまでの手作業による建築許可・管理では十分な情報の管理・分析が困難であり、結果として対応が後手に回っていた。このような背景を受け本研究では、これまで技術的な導入の障壁が高いと考えられ検討が不十分であった地理情報システム(GIS)を2009年に導入した。そしてGISを活用した主要な6村における景観の変化の分析を行なった。さらにDPLスタッフと東工大チーム間の知識の共有や将来の人材の育成に向けた持続可能な知識管理を行なうために知識管理システムEvernoteの導入と運用を行なった。

 

ワークショップ資料:

VRパノラマに関するワークショップ資料

VR

地理管理システムに関するワークショップ資料

juy

GISを活用した6村における景観の分析に関するワークショップ資料

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レポート:
  • プロジェクト要旨
報告書:

フェーズ 1: 2005年 – 2007年 世界遺産における持続可能な開発と管理

2005年から2007年にかけてUNESCO、DPL、東工大間で協働事業「UNESCO世界遺産地域の維持可能な開発における情報技術技術(ICT)の応用:ラオス国ルアンパバーンのケーススタディー」を実施した。山口・高田研究室は、世界遺産の持続可能な開発に向け、現地のニーズの反映した適切なICTを模索した。具体的には次の2つのICTツールを応用した取り組みが行なわれた。第一に、データベースの開発である。世界遺産を管理するためには大量の情報を保管・活用する必要があり、資金的な持続可能性に焦点を当て、開発と実装にはオープンソースソフトウェアを活用した。そのための現地での研修も実施した。そのため、情報を効率的に管理・活用を促進するためのデータベースを開発した。第二に、ICTセンターの設立である。現地のコミュニティーや訪問者に世界遺産に関する情報や知識を提供する目的でフランス開発庁(AFD)とユネスコとの協力のもとICTセンターを設立した。

UIofheritagedatabase

世界遺産データベース

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ICTセンター

報告書:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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