基本情報

国の基本データ

ラオス人民民主主義共和国(ラオス)は国土面積24万平方キロメートル、人口約649万人(2015年)の国で首都はビエンチャンである。公用語はラオス語で、主な宗教は仏教である。2015年におけるラオスの産業は、主にサービス業(GDPの約36%)、農業(約22%)、工業(約33%)の3つに分けられる。国内総生産(2014年)は、98兆8357億キープで、GDP成長率(2015年)は7.6%と高い経済成長に達している[1]。また、ラオスの人間開発指数(HDI)は0.586(2015)であり、この数値は世界188カ国の中でも138位と低い水準となっている[2]。

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1353年にメコン川流域に定住していたラオ族が現在のラオスの地にランサーン王国を設立した。首都はルアンパバーンであり、14世紀から16世紀までの間シルクロードの重要な拠点としての役割を果たした。また、仏教の中心地でもあった[3]。1545年には、Setthathirath王によって首都がルアンパバーンから現在のヴィエンチャンに移動した。その後の1694年、ランサーン王国は衰退し、3つの王国に分割された:ヴィエンチャンとチャンパ―サック、ルアンパバーン[4]。1893年から1949年にかけてインドシナ領域はフランスの保護領となり、ルアンパバーンは再び国王の住む地域および仏教の中心地となった。1946年に首都はヴィエンチャンに再び戻る。フランスから独立して1975年12月、現在のラオス人民民主主義共和国が成立した [3]。

文化的な特徴

比較的少ない人口ではあるものの49種類以上の民族で構成されており、非常に多様な方言や、文化、習慣であふれている。しかし、ラオ族が人口の半数以上を占めるためラオ族によるラオス文化が全体的に広く浸透している。ラオス文化には、13世紀ごろに南インドから伝播してきた上座部仏教が強く根付いており、彼らの生活様式だけでなく美術や建築様式にまで影響を及ぼしている。例えば、バッシーセレモニーのような儀式や日の出に僧侶が行う托鉢などがそうである [5]。

ラオスに存在している建築様式は、フランスの植民地化による影響を大きく受けていたためヨーロッパ風の建築とラオスの伝統的な建築が融合している。また隣国のタイやベトナムの影響も大きく受けている。都市部は、近代的な建築が主流であり、ラオスの伝統的な建築様式は段々と消えてきている。その一方で、地方では伝統的な建築がほとんどを占めている[5]。

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バッシーセレモニー

 


世界文化遺産「ルアンパバーンの街」

ルアンパバーンは、ラオス北部にある山間部の中心に位置する街である。ヨーロッパの影響を受けたルアンパバーンの独特な街並み全体が国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)により世界遺産「ルアンパバーンの街」として登録されている[3]。世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、現在を生きる世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産とされている。世界遺産には、大きく分けて「文化遺産」、「自然遺産」、そして「複合遺産」の3つの種類があり、ルアンパバーンは、その中でも「文化遺産」に分類されている[6]。

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世界文化遺産「ルアンパバーンの街」は、東南アジアを流れるメコン川とナムカーン川に挟まれている。19世紀から20世紀まにかけてフランスの保護下であったため、ラオスの文化はヨーロッパの影響を強く受けた[3]。フランスから独立しラオス人民民主主義共和国として成立した後の1995年、美しい自然に加えてラオスの伝統的な建造物とフランスの建築物の景観が融合した独特な街並みの価値が評価され世界文化遺産として登録された。登録に際して、ルアンパバーンは10の世界遺産登録基準のうち以下の3つの基準を満たした[6]。

 

1.(ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである[6]。

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ルアンパバーンの風景

 

2.(iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である[4]。

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仏教寺院「Wat Xieng Thong」

 

3.(v)あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)[4]。

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湿地帯(Thatlouang村)

 

参考文献:

[1] 外務省、「ラオス人民民主共和国」:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/laos/index.html [2018年8月1日参照].

[2]United Nations Development Programme, Human Development Data. [online] http://hdr.undp.org/en/data [Accessed on July 30, 2018].

[3] UNESCO, Town of Luang Prabang, United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization. [online] https://whc.unesco.org/en/list/479 [Accessed on August 1, 2018].

[4] Tourism Marketing Department, LaoPDR, Luang Prabang History. [online] http://www.tourismlaos.org/show_province.php?Cont_ID=580 [Accessed on August 2, 2018].

[5]Laos Guide 999, Laos Culture. [online] https://www.laos-guide-999.com/Laos-culture.html [Accessed on August 1, 2018].

[6]公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、「世界遺産とは」:http://unesco.or.jp/isan/about/[2018年8月1日参照].


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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